賃貸物件での給湯器交換手順は? 電気温水器やエコキュートの知識をご紹介
2016/12/16
2019/09/24
生活になくてはならないお湯は、給湯器が正常に作動しているからこそ使えるものです。普段、給湯器について関心を持っていますか? 長年使っているけれど、寿命など考えたことがないという方がほとんどではないでしょうか。
「お湯が出ない」「給湯器の故障かも!」といったトラブルにまつわる焦り、とてもよくわかります。給湯器の故障は、ある日突然起こるため、風呂に入れずパニックになる場合もあるでしょう。そろそろ寿命が近いかなと思う症状や、故障が多くなる時期は知っておくべきです。また、賃貸で給湯器を使っている場合、故障の対処法はどうしたらいいか迷いますよね。相談先などは、故障が起こる前に把握しておきましょう。今回は、給湯器のトラブルやトラブル相談窓口についてご紹介します。
賃貸物件は、自分の采配でいろいろ手を加えることができません。ゆえに、トラブルが起きたときは、自己判断で交換を決められないのです。後々面倒なことにならないためにも、賃貸における給湯器交換にかんする知識を身につけておきましょう。
1.賃貸の給湯器について
まず、賃貸物件によく使われる給湯器についてご紹介します。
1-1.賃貸・集合住宅向きの給湯器は?
賃貸物件には、一戸建てもマンションもあります。給湯器は家族構成や住宅規模で選ぶことが理想で、設置場所も住宅形態により違いがあるのです。選ぶ機種により、搭載されている機能は違います。機能は大きくわけて2種類で、給湯だけを行うタイプと給湯に追い炊き機能をプラスしたタイプです。また、給湯熱源の違いもご紹介します。
1-1-1.ガス給湯システム
ガス給湯器は、貯湯式と瞬間式があります。貯蔵タンク内の水をガスの力で温めるのが貯湯式の特徴です。一方、瞬間式は、開栓と同時にガスが着火し、水が温められて出てきます。ガス給湯器は、今の主流となっている熱源です。
1-1-2.電気温水器
ガス給湯器の貯湯式と同じ仕組みを持つのが、電気温水器の特徴です。メリットとして挙げられるのは、電気料金の安い深夜に自動で水を温め、タンク内に貯蔵する仕組みであることでしょう。ただし、貯蔵タンク内のお湯は限られており、使いすぎによるお湯切れもあります。エコキュートが代表的な名称です。
1-1-3.ハイブリッド給湯器
ガス給湯器と電気温水器のメリットを備えたのが、ハイブリッド給湯器です。基本的には、タンク内に貯蔵してあるお湯から使われます。もし、たくさん使ってタンク内の残量が減った場合は、ガス給湯器に切り替えて必要な分だけ熱を加えてお湯を作り出すのです。
1-2.給湯器の設置場所について
設置場所は大きくわけて2つで、壁掛けタイプ・据え置きタイプです。
1-2-1.壁掛けタイプ
最もポピュラーなタイプが、壁掛けタイプの給湯器です。スリムで場所を選ばず、ベランダにも設置できます。マンションやアパートでもよく使われるタイプです。配管カバーで保護されているものもあります。
1-2-2.据え置きタイプ
パイプシャフトの頭文字から、PSと呼ばれることが多い据え置きタイプです。マンションなら、玄関脇にあるボックスにすっきり収納できます。ただし、交換時は同じ場所に穴がある給湯器への交換が条件となるため、選び方は注意が必要です。
一戸建てでは、屋外の浴室に隣接した場所に置きます。地面に直接据え置きするタイプです。一戸建てならではの設置方式だといえるでしょう。
1-3.賃貸・集合住宅に向いている号数は?
号数は、小さいほど給湯器の価格も安いです。しかし、家族構成や住宅規模に合わない号数を選んだ場合、給湯能力が追いつかず、お湯切れや使いにくいといったデメリットがあります。そのため、号数は安さだけで選んではいけません。
- 16号(1~2人家庭向き。ワンルームに導入例が多いです)
- 20号(2~3人家庭向き。シャワーとキッチンでの給湯を同時にできます)
- 24号(4~5人家庭向き。シャワーとキッチンでの給湯に加え、追い炊きも一緒に使える大容量タイプです)
1-4.マンションタイプと戸建て住宅タイプはどう違う?
戸建て住宅に多く設置されているのは、据え置きタイプです。浴槽と直結するように、屋外の隣接した箇所へ設置されます。マンションなら、壁掛けタイプや玄関脇のボックス収納タイプ、戸建て住宅では地面据え置きタイプが一般的です。
1-5.給湯器のメーカーや価格など
賃貸物件に多いマンションタイプのメーカーや価格をご紹介します。いずれも税込み価格です。
- リンナイ ガス給湯器(壁掛けタイプ) 59,900円~
- リンナイ ガス給湯器(PS後方排気タイプ) 45,800円~
- ノーリツ ガス給湯器(壁掛けタイプ) 49,980円~
- ノーリツ ガス給湯器(PS後方排気タイプ) 55,700円~
- リンナイ ガス風呂給湯器(玄関壁面設置型) 74,700円~
- ノーリツ ガス風呂給湯器(PS扉内設置型) 89,000円~
戸建て住宅では、省エネ給湯器とも呼ばれる次世代型給湯器も設置されるようになってきました。価格は高めではあるものの、光熱費削減を目的に、オール電化に切り替えるところもあります。
- リンナイ エコジョーズ・ガス風呂給湯器(壁掛けタイプ) 121,800円~
- パナソニック エコキュート・ガス風呂給湯器(壁掛けタイプ) 215,000円~
2. 賃貸の給湯器交換時期
給湯器は突然壊れるのではなく、寿命が近づくにつれ、さまざまな不具合が起こります。故障かなと思うサインは見逃さず、修理や交換を考えるべきです。賃貸の場合、すぐに対応してもらえるとは限りません。早めに異常に気づき、壊れる前に申し出るようにしましょう。
2-1.給湯器の寿命は?
給湯器の平均寿命は、10年です。長く使えたとしても、15年が目一杯でしょう。使用頻度が高いほど、劣化も進みます。平均寿命より短くなることも想定しておいてください。また、メーカーによる修理部品保有期間は、10年で終了です。従って、10年経過した給湯器は、修理を希望しても部品がない場合もあります。
2-2.給湯器交換が必要になる目安が知りたい
寿命のサインともいえるさまざまな不具合は、使用者として必ず知っておきたいものです。突然の故障でパニックにならないためにも、事前におかしいなと感じることは見逃さないようにしてください。
- 異音がする
- 給湯器から黒い煙が出ることがある
- 設定温度に達しない
- 追い炊き機能が作動しない
上記のようなトラブルは、交換時期を示すサインでしょう。放置した場合、火災や事故など思いがけぬ出来事に巻き込まれる可能性もあります。
2-3.給湯器を交換すべき故障の数々
前項にてご紹介した寿命が近づくと出てくるトラブルは、不完全燃焼など危険な事例もあります。黒い煙が出る場合、突然爆発するケースもあり、大惨事に陥ることもあるでしょう。異常を感じたら、専門家に診断してもらい、交換が必要かを考えてみましょう。
2-4.給湯器の定期点検はやっぱり必要?
ガスは、静電気でも発火するものです。給湯器内部の異常や摩耗は、見た目では判断しにくいでしょう。特に、素人では異常に気づくのが遅れてしまいます。ですから、専門家による定期点検で安全を確かめ、事故が起こらないようチェックすることは大切です。こまめに修理やメンテナンスをしているなら、平均寿命より長く使えることもあります。
3.賃貸物件の給湯器交換方法は?
持ち家なら、自分の判断ですぐ交換の手配ができます。しかし、賃貸物件は貸し主の許可を得ることと、交換費用の負担を申し出る必要があるのです。
3-1.賃貸物件の場合はどのように申し出るべきか?
賃貸物件にある設備は、すべて貸し主のものです。従って、設備全般の修理や交換は、貸し主が経費を負担することとされています。相談先として、第一選択肢となるのが管理会社です。まず、管理会社に連絡し、給湯器の故障内容やトラブルが起こる頻度などを説明します。管理会社経由で、貸し主に連絡してもらってください。
3-2.相談先として挙げられるのは?
賃貸物件の契約内容により、給湯器の故障トラブルがあった場合の連絡先は違います。管理会社となっていることがほとんどです。まれに、貸し主と直接交渉するような記載もあります。契約事項により、ガス営業会社に連絡をするようにと、指示がある場合もあるでしょう。借り主がガス営業会社に連絡し、修理や交換をするようになるなら、導入予定の機種や費用負担については貸し主とよく相談しながら進めてください。
3-3.給湯器修理や交換にかかる料金は誰が支払う?
前述にてご説明したとおり、賃貸物件の給湯器は設備に該当します。すべての設備は、貸し主の資産とみなされ、貸し主の負担によって修理や交換を行うのが一般的です。
万が一、借り主が故意に壊してしまったなら、借り主が一部料金の負担をしなければならないケースもあります。まれに、貸し主が出し渋りをすることがあり、なかなか交換してくれないといったトラブルもあるのです。しかし、事故や火災が起こってからでは遅いため、借り主は無理に使用を続けることによって起こる危険性を主張する必要があります。
3-4.給湯器交換における注意点
給湯器の交換は、必ず貸し主の許可を得てから行ってください。なかなか許可が出ず、自分の判断で交換した場合、敷金トラブルに発展することがあります。原状回復を要求され、修繕金を要求されることがあるのです。設備は貸し主の負担で交換できます。自分で推し進めず、許可を得てから手配してもらいましょう。
4.賃貸の給湯器交換工事について
給湯器の交換工事について、期間や費用などは借り主も把握しておきましょう。貸し主の許可が下り、手配をお願いされることもあります。業者の選び方なども知っておくと安心です。
4-1.賃貸の給湯器交換工事の期間と費用相場
給湯器の種類により、工事期間と工事にかかる費用は違います。
4-1-1.工事費用相場はいくら?
給湯器は、本体価格とは別に設置工事費がかかります。一般的なガス給湯器と省エネ設計のエコキュートでは、工事費に差があるので注意してください。
ガス給湯器の場合は36,000円前後、エコキュートの場合は39,000円前後かかります。いずれも税抜き価格です。設置にあたり、部材料金を請求されるケースがあります。数千円程度でしょう。設置工事前に見積書を出してもらい、追加請求が発生しないかを確認してください。
4-1-2.工事期間はどのくらい?
エコキュートは設置工事が通常より大掛かりになります。一般的なガス給湯器の工事なら、さほど時間はかかりません。しかし、機種によっては、取り寄せに1日程度時間が必要なものもあるでしょう。工事期間そのものは、半日あれば済みます。ガス給湯器の交換や修理は、故障トラブルが増える12~3月の冬場は繁忙期にあたり、工事が多少混み合うことも予想されますから、早めに依頼するようにしてください。
4-2.給湯器の故障はどうなる?
故障は、トラブルが急に起こるため、必要に迫られるケースがほとんどです。注目しておくべきポイントは、給湯器の保証期間内であるかどうかで、無償修理になることもあります。BL認定製品の給湯器なら、2年の保証を受けることが可能です。認定製品以外の給湯器なら、1年の保証期間を設けています。
故障内容により、修理費用がかさんでしまうことも予想されるでしょう。修理するより、交換の方が安い場合もあるため、見積もりで確かめてください。
4-3.給湯器を修理する場合に請求される費用はいくら?
修理費用は、出張費用などを考慮して計算されます。故障内容により、修理費用は違いますから、だいたいの金額を覚えておきましょう。
- 不完全燃焼 17,000~35,000円
- 電気系統のトラブル 6,000~46,000円
- 安全装置の異常 7,000~58,000円
- リモコンの動作不良 15,000~38,000円
トラブルは1箇所だけとは限りません。従って、複数のトラブルが同時に起こった場合、修理費用も必然と高くなります。
4-4.賃貸物件だからこそ起こる給湯器交換で注意すべきこと
必ずしも、自分が希望する給湯器が導入されるとは限りません。また、修繕にまつわるトラブルも起こり得るため、貸し主の承諾を得て、修理または交換を行うことが、賃貸物件ならではの注意点です。貸し主とよく相談し、設置する給湯器の種類なども考えていくといいでしょう。管理組合により、設置できるものが限られている場合もあります。管理組合・業者・貸し主とよく話し合い、上手に交換を終えるようにしてください。また、交換にあたり、退去時に交換費用の請求がないかも、事前に確認しておくといいでしょう。
4-5.給湯器交換業者選びのポイント
給湯器の交換は、給湯器本体の販売と工事をセットで行う業者がベストです。工事と本体販売が別の業者では、二度手間になってしまうのに加え、余分な費用負担も発生します。
また、設置後は小さな不具合も起こり得るでしょう。そのため、メーカー保証以外にも、自社で一定の保証期間を設けている業者を選んでください。定期点検も受けられる業者なら、安心して交換と設置を依頼できます。
5.賃貸の給湯器トラブルでよくある質問
給湯器の交換は、そう頻繁にあるものではありません。ましてや、賃貸物件だとなおさら交換する機会も少ないでしょう。交換や修理において、さまざまな疑問が湧いて当然です。質問集で予備知識を身につけてください。
Q.今の給湯器より号数を上げたいのですか?
号数は、管理規約で変更できない賃貸物件もあります。必要に迫られているようでしたら、貸し主や管理会社へ相談してください。号数を上げることができるようなら、ガスメーターの交換作業も必要です。
Q.エコキュートのメーカーはいくつある?
エコキュートを販売しているメーカーは、三菱・パナソニック・日立・東芝・ダイキン・コロナです。それぞれに特徴や小さな差があります。中でも人気があるのは、パナソニックのエコキュートです。人工知能を搭載し、センサー感知で湯温を一定に保(たも)つことができます。ミネラル成分を含んだ湯で、美容にもいい湯を作ることができるでしょう。
Q.お湯が出ないのも故障のサイン?
給湯器トラブルで多いのは、電気系統の異常や不完全燃焼といったものです。故障により、お湯が出ないこともあります。無理に使い続けるのは危険です。何らかの異常が内部で起こっており、お湯が出ないのは異常を示すサインですから、すぐに修理や交換をするようにしてください。
まとめ
給湯器のトラブルは、お湯が出ないといった事態に発展し、日々の暮らしに影響します。また、給湯器の不完全燃焼や安全装置の異常を放置した場合、事故や火災などの恐れもあるでしょう。給湯器の寿命は、およそ10年です。何らかのトラブルが発生しやすくなる時期で、修理や交換を考えるころになります。とはいえ、賃貸物件では勝手に給湯器の交換はできません。設備は貸し主の持ち物です。設備修理は事前に貸し主に相談し、貸し主の負担で修理や交換を行ってもらいましょう。原状回復にも影響する問題であるため、自己判断せずに必ず申し出るようにしてください。いつまでも給湯器が使えないのは大変不便です。工事が混み合う時期もあります。早めに相談し、対応してもらって安全に使えることが第一です。