給湯設備って何?給湯器の種類や耐用年数・業者の選び方など解説

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「どの給湯設備を選べば良いのかわからない」と、給湯設備選びで悩んでいる人は多いでしょう。近頃はエコキュートやエコジョーズなど省エネ・エコに特化した給湯器も登場しています。ライフスタイルや家族人数に合った給湯器を選ぶためにも、給湯器について必要な情報を把握することが大切です。そこで、これから給湯設備とは何なのか・給湯設備の種類・主なメーカー・エコ給湯器など詳しく説明します。

  1. 給湯設備とは
  2. 家庭用のお風呂給湯設備の種類
  3. 家庭用給湯器の主なメーカー
  4. 最近人気のエコ給湯器とは
  5. 給湯設備・給湯器の耐用年数について
  6. 給湯設備業者の選び方
  7. 給湯設備にかんしてよくある質問

この記事を読むことで、給湯設備選びに必要な知識と情報を知ることができます。そして、家庭環境に合った給湯設備を選びましょう。


1.給湯設備とは

お湯を沸かすために必要な機器が「給湯設備」です。適した給湯設備を選ぶために、給湯設備の定義や種類・方式や加熱装置の違いなどチェックしておきましょう。

1‐1.給湯設備の定義

給湯設備は「お風呂や暖房設備・洗面台などにお湯を供給するための設備」です。お湯を使うためには給湯設備が必要になります。給湯設備が壊れてしまえばお湯が使えなくなるでしょう。急な故障を防ぐためにも、種類の特徴や方式・加熱装置の違いを把握しておかなければなりません。

1‐2.給湯設備の種類

給湯設備には、「方式」「加熱装置」「給湯方式」など種類が細かくわかれています。どんな種類があるのかきちんと把握しておかなければ、適した給湯設備が選べません。

1‐2-1.方式の違い

方式の違いとしては「局所方式」と「中央方式」の2種類があります。局所方式は給湯が必要な場所に小型の湯沸かし器を分散配置する方式です。主に、飲み水としてのお湯に使用されます。お湯を循環させるのではなく、一方向で供給する仕組みです。そして、もう1つの中央方式は大容量の熱源設備と供給用ポンプを設置します。大量の供給が必要な宿泊施設や工場で使用されることが多いです。

1‐2-2.加熱装置の違い

加熱装置の違いには「直接加熱方式」と「間接加熱方式」があります。直接加熱方式は使用する量に適したお湯を一定温度で加熱する方法です。給湯機器の中にためている水を直接的に加熱します。一方、間接加熱方式は加熱コイルを内蔵させた貯湯槽で間接的に加熱する方式です。熱源は温水になります。間接的か直接的かどうかで加熱装置が異なるのです。

1‐2-3.給湯方式

ガス給湯器には「瞬間式」と「貯湯式」の2つがあります。瞬間式は給湯の内部に備わっている金属パイプに水が流れ、瞬間にガスが金属パイプを温める方法です。よって、瞬間的にお湯を出すことができます。一方、貯湯式は一定の温度を保ったお湯が貯湯タンクに入っており必要なときにお湯を出す方式です。水の入ったやかんを温める原理と同じになります。

2.家庭用のお風呂給湯設備の種類

家庭用のお風呂給湯設備にはガス給湯器・電気給湯器・石油給湯器・ハイブリッドがあります。それぞれのメリット・デメリットや光熱費の違い・号数について詳しく説明しましょう。特徴をしっかり把握して適切なタイプを選んでくださいね。

2‐1.ガス給湯器

ガスを使ってお湯を沸かすタイプが「ガス給湯器」です。詳しく説明すると、ガスを燃焼させて水を温めお湯にします。ガス給湯器のメリットは狭いスペースでも設置できること・給湯器が安いこと・瞬間式に加熱するため無駄が少ないことです。ただし、ガスを使用するため光熱費が割高になります。

2‐2.電気給湯器

電気給湯器は電気を使用してお湯を温める給湯器です。主なメリットは深夜料金を利用することで光熱費が安くなること・火を使わないので安全性に優れていることになります。また、稼働音も静かなので深夜でも気兼ねなく稼働できるでしょう。一方、デメリットは給湯器とは別に「貯水タンク」を設置しなければならない点です。給湯量に上限があるため、一気にお湯を使用することもできません。

2‐3.石油給湯器

石油給湯器の主なメリットは月々の光熱費を安く抑えることができる点です。また、灯油燃焼によるパワフルな給湯ができます。そのため、寒い地域での使用率が高いです。しかし、最近は灯油の価格が安定していないので必ず安くなるとはいえません。デメリットは、灯油タンクを取りつけるためのスペースが必要なことです。さらに、熱源となる石油を給湯器に入れなければならないので手間がかかります。

2‐4.ハイブリッド

電気とガスの両方でお湯を沸かす給湯器が「ハイブリッド給湯器」です。ハイブリッド給湯器のメリットはランニングコストが安くなる点になります。深夜は料金が安い電気を熱源にし大量にお湯を沸かしたいときはガスを使用することになるでしょう。ただし、電気とガス両方の基本料金がかかるので費用が高くなる可能性があります。

2‐5.光熱費の違い

給湯器は長く使い続けるものなので「光熱費」「ランニングコスト」などを考えなければなりません。最も光熱費が安い熱源は深夜料金が使える電気になるでしょう。ガス・石油は電気よりも光熱費が高くなります。光熱費と給湯器本体の値段、機能性などを踏まえたうえで選ばなければなりませんね。

2‐6.号数とは

給湯器の号数は1度に使用できるお湯の量を示しています。主に、10号・16号・20号・24号・28号と5種類に区別されるでしょう。基本、4人家族の場合は24号を選びます。家族の人数が多いほど号数も大きくなると思ってください。

3.家庭用給湯器の主なメーカー

家庭用給湯器のメーカーによっても特徴が異なります。リンナイ・ノーリツ・パーパスとそれぞれの特徴について説明しましょう。

3‐1.リンナイ

給湯器大手メーカーの1つであるリンナイ給湯器は、水道直圧・ゆらぎシャワーなどお風呂にかんする機能が充実しています。積極的にコスト削減をしているため、塗装・ネジがさびやすくなるでしょう。しかし、故障発生率は高くないので安心してください。正しい使い方をすれば長く使い続けることができます。

リンナイカタログ:http://rinnai.jp/catalog_download/
リンナイ対応ページ:
http://rinnai.jp/products/waterheater/

3‐2.ノーリツ

リンナイと同じく、給湯器大手メーカーの1つが「ノーリツ」です。ノーリツ給湯器はエコ機能と熱効率が優れています。故障発生率はリンナイより高めです。また、修理のしやすさを考えて設計されているので修理時間が短く済みます。

ノーリツカタログ:http://urx.blue/ydTg

3‐3.パーパス

パーパスの給湯器は高性能でコンパクトだと好評です。省エネ機能を意識した給湯器も多く、エコ機能も充実しています。体脂肪の測定ができるなど「健康機能」が備わっているのもパーパス給湯器の特徴です。

パーパスカタログ:http://www.purpose.co.jp/aftersupport/catalog/

3‐4.その他

ほかにも「パロマ」というメーカーが存在しています。パロマはリンナイ・ノーリツ・パーパスに次いで4番手のメーカーになるでしょう。4番手ではありますが、機器のスペックは非常に高いです。たとえば、お風呂での消費カロリー表示や半身浴の湯量への設定など女性の美を追究している機能が特徴になります。

パロマカタログ:http://www.paloma.co.jp/support/catalog/

4.最近人気のエコ給湯器とは

給湯器の中でも最近人気になっているのが「エコ給湯器」です。エコ給湯器とはどんな給湯器なのでしょうか。エコ給湯器の種類やメリット・デメリット・補助金制度など説明していきます。

4‐1.エコ給湯器とは

エコ給湯器とは、自然の力でお湯を沸かす給湯器のことです。エコ給湯器といってもエコジョーズ・エコフィール・エコキュートの3種類があります。それぞれ仕組みや特徴が異なるので詳しく見ていきましょう。

4‐1‐1.エコジョーズとは

エコジョーズは別名「潜熱回収型給湯器」と呼ばれています。無駄にしていた排熱を再利用してお湯を生み出す給湯器です。ガスでお湯を温める際、余ったエネルギー消費力を再利用することで無駄を減らします。また、コンパクトなサイズで置き場所に困りません。エコキュートの10分の1の大きさになります。さらに、瞬間湯沸かし器なので、1度に大量のお湯を使うことができるでしょう。

4‐1‐2.エコフィールとは

エコフィールは石油給湯器の1つです。従来の石油給湯器は灯油を燃やしてお湯を温めます。たとえば、炎の温度1,500℃で温めた際、1,300℃ぶんのエネルギーが水に移動してお湯になるものです。そして、残りの200℃ぶんのエネルギーは水に移動しないまま放出されます。放出される200℃ぶんのエネルギーがもったいないですよね。エコフィールは「主熱交換器」と「補助熱交換器」と、熱交換器が2つついています。だから、残りの200℃ぶんのエネルギーも水に移動できお湯に変化できるのです。

4‐1‐3.エコキュートとは

エコキュートは深夜電力を利用してお湯をつくる給湯器です。電気代が安い深夜に貯湯タンクの中に入っている水をお湯に換えていきます。そして、使用したいときに貯湯タンクのお湯を使う仕組みです。ほとんどのメーカーがエコキュートに「自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯器」と命名しています。ヒートポンプシステムの冷媒は二酸化炭素なので温暖化ガスの排出が抑制できるのです。また、ヒートポンプシステムは給湯の熱エネルギーを電気エネルギーに対しておよそ3倍得ることができます。そのため、熱交換率が非常に高い給湯器といえるでしょう。

4‐2.メリット・デメリット

エコ給湯器のメリットは主に「光熱費が安いこと」「二酸化炭素の削減ができること」があげられます。無駄な排熱を減らしているため、熱交換率が非常に高いです。必要最低限のエネルギーを使うことができ光熱費の節約につながります。また、自然の熱を利用しているため二酸化炭素の排出も削減できると好評です。地球にやさしい給湯器といえるでしょう。一方、デメリットは種類によって異なります。たとえば、エコキュートは貯湯タンクが必要になるため設置スペースがある程度必要です。エコジョーズ・エコフィールのデメリットは設置費用が高くなる点になります。

4‐3.補助金について

もし、設置費用・初期費用で悩んでいる方は「補助金」を活用してみてはいかがでしょうか。都道府県の各自治体によってエコ給湯器の補助金を出してくれるところがあります。たとえば、2016年8月現在、東京都のあきる野市ではエコキュート・エコウィルの設置に3万円・エコジョーズに1万5,000円の補助金が提供されるようです。住まいの自治体で補助金制度があるかどうか、ぜひチェックしてみてください。

5.給湯器の耐用年数について

給湯器を長く使い続けるためには「耐用年数」を知ることが大切です。耐用年数を把握しておけば、故障する前に修理・交換ができるでしょう。

5‐1.給湯器の耐用年数とは

給湯器の耐用年数はおよそ8年~10年です。10年以上が経過していても正常に稼働している給湯器はあります。しかし、10年経過した給湯器は故障しやすくなるものです。また、給湯器部品の供給期限は製造終了から10年になります。そのため、10年以上経過した給湯器が故障しても、修理できる部品が必ず手に入るとは限りません。

5‐2.給湯器のよくある故障

給湯器のよくある故障をいくつかあげていきます。当てはまる症状が出てきたら故障している可能性が高いでしょう。

  • 給湯器の音がうるさい・異音が目立つようになる
  • エラーコードが頻繁に出る
  • 給湯温度が不安定
  • 給湯器の排水から煙が出る
  • お湯の量が少なくなった
  • お湯はりをすると設定温度どおりにいかない

特に、煙が出る・異臭がするケースは不完全燃焼を起こしている危険な状態です。むやみに扱わず、すぐに業者またはメーカーに連絡してください。

5‐3.交換の目安

給湯器交換の目安は「10年」です。メーカーの部品保有期間が10年・耐用年数が8年~10年になるため、10年を目安に交換を考えたほうがベストでしょう。ただし、使用状況や環境によっては早くから不具合が出ることもあります。「おかしいな」と感じたときは修理・交換を考えてください。

5‐4.メンテナンスのコツ

給湯器を長く快適に使うためには「定期的なメンテナンス」が必要不可欠です。給湯器の販売業者の中には購入後ほとんど連絡をしてくれないところがあります。そのため、きちんとメンテナンスをしてくれるかどうか、無料点検の有無を確認したほうが良いでしょう。また、素人が簡単にできる掃除も大切なメンテナンスの1つです。ホコリがたまらないように掃除をする・雨水が入らない場所に設置するなど注意してください。

5‐5.修理・交換の費用

どの場所を修理・交換するのかによって費用が異なります。バーナーの経年劣化やガス不良など燃焼系の場合、およそ2万~3万円かかるでしょう。基盤不良や断線などは数千~5万円、温度ヒューズや過熱防止など安全装置系は8,000~6万円かかります。

6.給湯設備業者の選び方

給湯設備の販売・設置をしている業者選びは大切なポイントです。適当に選んでしまっては、後で業者とトラブルになってしまいます。後悔しないためにも業者選びのポイント・トラブル対応・アフターフォローについてチェックしていきましょう。

6‐1.業者を選ぶポイント

業者を選ぶポイントは「迅速な対応」「給湯器の保証」「見積もり」の3点です。工事を依頼してもすぐ対応してくれなければ給湯器が使用できませんよね。そのため、スタッフの対応サービスは大切です。また、給湯器の工事保証があるかどうかもチェックしてください。優良業者は豊富な実績と実務経験を持っている給湯器工事のスペシャリストが工事をしてくれます。そして、見積書がきちんと記載されているかどうかも要チェックです。見積書に穴がある業者は信用できません。

6‐2.アフターフォロー

設備業者を選ぶ際、アフターフォローの有無が最も大切なポイントです。アフターフォローが充実している業者なら設置後のトラブルでも無償で対応してくれます。

6‐3.トラブル対応

給湯器の設置・修理にかんして業者とトラブルになるケースがあります。もし、業者とトラブルにあったときは国民生活センター・消費者センターに相談してください。1人で抱えこまずにすぐ相談することが大切です。

国民生活センター・消費者センター相談窓口:http://www.kokusen.go.jp/category/consult.html

7.給湯設備にかんしてよくある質問

給湯設備にかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。給湯器の交換を考えている方・給湯器選びで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

7‐1.給湯器の選び方のポイントとは?

設置タイプ・給湯能力(号数)・機能性の3つが大きなポイントです。給湯器選びの前に設置できるスペースと家族人数を確認しておきましょう。家族が多いほど号数が大きくなります。また、何のために給湯器を使うのか目的を明確にしてください。ハッキリしておけばベストな「機能性」の給湯器が選択できます。

7‐2.エコキュートの価格はいくらになるのか?

エコキュートの価格はおよそ20万円です。機能性や熱交換率が高いほど価格も高くなるでしょう。

7‐3.エコキュートなどエコ給湯器の工事費は?

エコ給湯器類の工事費用はほかの給湯器よりも高くなります。安くて10万円・高くて30万円が必要です。エコ給湯器の工事費がいくらになるのか、業者の見積もりを確認してください。

7‐4.古い給湯器はどうすればいいのか?

古い給湯器は設置業者が回収してくれます。処分費用がかかるので要注意です。自分で処分する場合は自治体の窓口に問い合わせてください。買取業者に売るのも1つの方法です。

7‐5.すぐに修理・交換してもらえるのか?

迅速に対応してくれる業者なら当日工事が可能です。ただし、在庫状況によっては注文から翌日・翌々日の工事になるため、事前に業者へ確認しておいたほうが良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?給湯器にも熱源・給湯方式・設置方法など違いがたくさんあります。ベストな給湯器を選ぶには、まず給湯器の種類を把握して違いを理解することが大切です。給湯器ごとの特徴をしっかり理解しておけば、ライフスタイルに合った給湯器が選択できます。必要な情報・知識を身につけて後悔しない給湯器選びをしましょう。